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家族性高コレステロール血症 [疾患]

家族性高コレステロール血症というものがあります。
読んで字のごとく、遺伝性の疾患です。
誤解を怖れずに話しますと、
人間の遺伝子は一対になっております。
その一本がダメージを負ったもの
それを、ヘテロ型といいます。


このヘテロ型の家族性高コレステロール血症の患者さんは
200人~500人に1人と言われています。


動脈硬化学会は
以下のように診断基準を定めています。


<成人(15 歳以上)FH ヘテロ接合体診断基準>

1.高 LDL-C 血症(未治療時の LDL-C 値 180 mg/dL 以上)
2.腱黄色腫(手背、肘、膝等またはアキレス腱肥厚)あるいは皮膚結節性黄色腫
3.FH あるいは早発性冠動脈疾患の家族歴( 2 親等以内)

この診断基準は以下のように除外項目があります。
● 続発性高脂血症を除外した上で診断する
● 2項目以上でFHと診断する。FHヘテロ接合体疑いは遺伝子検査による診断が望ましい
● 皮膚結節性黄色腫に眼瞼黄色腫は含まない
● アキレス腱肥厚は X 線撮影により 9 mm 以上にて診断する
● LDL-C が 250 mg/dL 以上の場合、FH を強く疑う
● すでに薬物治療中の場合、治療のきっかけとなった脂質値を参考にする
● 早発性冠動脈疾患は男性 55 歳未満、女性 65 歳未満と定義する
● FH と診断した場合、家族についても調べることが望ましい
● この診断基準はホモ接合体にも当てはまる





さて、このような診断基準で迷うのは、こういったケースかもしれません。
①健診で空腹採血でLDLコレステロールが180mg/dl前後を指摘
②近親者のコレステロール値や冠動脈疾患も不明
③健診では、「家族性は考えにくい」と言われた


こう言った患者さんがいらっしゃったとします。

確かに、迷うところではあります。
でも、
仮に家族性であるのなら、1人の異常からご家族全員が
救えるのかもしれないわけです。
このような考え方をしてみないと、
将来にわたり高額医療になるのは
医療費の面からも看過できないところではないでしょうか?


わたしはこのようにお尋ねするかもしれません。
「ご両親はまだお元気でしょうか」と。


それで、「私の小さい頃に父は心筋梗塞」とか
「突然死したんです」とかであれば、
家族性高コレステロール血症の可能性は非常に高いと考えます。

診断基準にぴったりと当てはまらなくても
家族性高コレステロール血症は存在しますので、
否定的診断をするためにも
健診よりもう一歩踏み込んだ詳しい採血もするべきかもしれません。


きちんとした生活指導を行ってみましょう。
その上で、考えを巡らしていくのもアリかもしれませんよね。
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抗凝固剤内服時の抜歯 [疾患]

診察中によくある質問に
「血液サラサラのお薬飲んでますが、抜歯などは出来ないですか?」
というものです。
ワーファリンなどが有名どころです。


現在、日本でもガイドラインが出来ています。

高齢化の進行する中、心筋梗塞や脳梗塞などが増えてきています。
そこで抗血小板薬や抗凝固薬を内服する人も増えて来ています。



今までは可能であれば休薬していた事も多かったと記憶しています。。

抗血栓療法の中断は危険性が大きく、
適切な局所の止血処置を行えば休薬が不要と言われています。

@@休薬による再発は頻度は低いのですが、発症すると重篤です@@
米国の2つの文献で、抗凝固剤を中止した788例の1パーセント弱で再発が起こり、
そのうちの75パーセントで死亡の転機をとったことがショッキングでした。


日本循環器学会の抗凝固・抗血小板療法ガイドラインでは
「抜歯時には抗血栓薬の継続が望ましい」と記載されています。

@@しかし日本の現状は@@
しかしながら、半数以上の医師が、抗凝固剤などの休薬をしているようです。
ガイドラインもあるにも関わらず休薬するのは、
出血が多くなっては、術野が見えにくいというテクニカルな要素のようです。

この出血を最小限にして、抜歯などの視野を確保するためには
日頃のコントロールが大切であり、
抜歯当日の濃度が至適なコントロールなのかが大切なようです。
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スタチンの効果とは [疾患]

高コレステロール血症で、スタチンという薬をよく使用します。

本日は、このスタチンという薬剤の新たな知見が入ったのでご紹介します。



スタチンの頸動脈内中膜肥厚IMTの進行抑制効果は、欧米人でのみ確認されていました。

それも脳梗塞などが存在していない症例での発表でした。


本年11月に、心原性脳梗塞症以外の脳梗塞を発症した日本人において、

プラバスタチン10mgでの頸動脈IMTへの影響を検討した結果が発表されました。

それによりますと、5年間で頸動脈IMTの進行を有意に抑制されたということです。


これは、日本からの報告でした。

国立循環器病研究センターの古賀 政利氏が報告いたしました。


本結果から、10mg/日でも長期投与により頸動脈硬化進行を抑制し、

アテローム血栓性脳梗塞の再発予防につながることが示唆されたわけです。

このプラバスタチンという薬剤は、先発品名でメバロチンという薬剤です。

メバロチンは世界に先駆けて、この日本で創薬されたHMGCoA阻害薬です。


このプラバスタチンに関しては2008年にも

MAGAスタディという発表がありました。

ここでも、動脈硬化性疾患の発症抑制が発表されていました。


このまとめですが

結果として

総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪はいずれも
対照群より低く、HDLコレステロールは高く維持されて、良好にコントロールされていました。
冠動脈疾患CHDの発症率は、対照群にくらべ33%抑制されていました。
このうち、心筋梗塞の発症率は、48%抑制され、ほぼ半減しいぇいます。
CHDに脳梗塞を加えた心血管系疾患の発症率は、対照群にくらべ30%抑制。
一方、統計学的な有意差はありませんでしたが、脳卒中の発症率は17%、

総死亡は28%の抑制傾向が示されていました。


がん発生率を含めた有害事象は、両群間に有意差は認められず、

プラバスタチン ナトリウムの長期服用の安全性が確認されました。




これを見ますと、いかにきちんと脂質をコントロールすると良好な結果となるのか一目瞭然です。

脂質にしろ、糖尿にしろ、血圧にしろ、

自覚症状が出る前は、ほとんど症状を表しません。

しかし、自覚症状を出してしまうと、

致死的疾患となることがおおいので、コントロールしておく方がよいのです。




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メタボより高血圧 [疾患]

img.jpg脳卒中や心筋梗塞など循環器疾患の予防には、肥満に重点を置いたメタボリックシンドローム対策よりも高血圧対策が重要であることが、厚生労働省と国立がんセンターの調査で分かった。 


国のメタボ検診では、メタボに当てはまらないが高血圧で発症リスクの高い人を、見逃す恐れがあるという。


全国の40-69歳の男女約2万3000人を平均約11年間にわたり調査した。
その間に693人が循環器疾患を発症した。
もし全員の血圧を正常にした場合、
男性で48%、女性で45%の心筋梗塞や脳梗塞を減らせると推計された。


一方、メタボを解消しても男性で12%、女性で8%の改善効果しかないと考えられた。



メタボ基準は肥満だけが必須条件で、高血圧の人でも、高血糖や脂質異常がないと「メタボ」とならない。
そこには
「日本人は欧米人に比べ肥満者の割合が少ない」
という事実があるだろう。
だから肥満ばかりに目を向けず、高血圧対策を優先する必要があるのだ。

けれども
この健診で血圧を計らないわけではない。
要は受診者の心構えと、健康に対する姿勢が大事なのだと思う。

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