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自動車事故について [医療制度]

<損害賠償>
不注意によって自動車で交通事故を起こし、
他人を死亡させたりけがを負わせた者は、
法的には下記の責任を負うことになります。
1)刑事責任(懲役・禁固・罰金など)
2)行政責任(運転免許の取り消し・停止など)
3)民事責任(被害者に対する損害賠償)
以上の3つの責任は独立して発生するので、
刑事上は無罪・行政上も不処分であっても、
通常は民事上の責任が存在することになります。
自動車保険は、その加害者の法律上の損害賠償責任をカバーし、
また一方で被害者(およびその遺族)の救済を
図るためのものという二面性を持っています。
その点で、健康保険とは基本的に異なった保険だと言えるでしょう。


<保険形態>
1)自賠責保険(強制保険)
被害者救済を目的として1955年に自賠法が制定され、
これに基いて自賠責保険が生まれました。
損害保険会社とJA(農協)などが扱っております。
またJAが扱う保険は自賠責共済という名称です。自賠責保険には次のような特徴が挙げられます。
①加害者に自らの過失がなかったことを証明する責任を負わせ、
  あわせて免責規定を厳格化することにより、
 事実上無過失責任に近いものにしていること。(自賠法第3条)

無過失責任とは・・民法では、
被害者に証明責任を負わされていますが、加害者は自賠法では、
以下の3点を立証できない限り
賠償責任を免れることはできないとされています。
(1) 加害者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと
(2) 被害者または運転者以外の第三者に故意または過失があったこと
(3) 自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかったこと

②保険契約の締結を強制としたこと
 自動車は、適用除外者(米軍・自衛隊の車両、構内専用車など)を除いて
 自賠責保険の契約をしなければ運行することができない(自賠法第5条、同10条)
 とされています。
 また、自賠責保険契約を引き受ける損害保険会社に対しては、
 正当な理由がある場合を除いて
 契約の締結を拒否できない(自賠法第24条)ことになっています。
③当該自動車が抹消登録を受けた場合
 および車両番号を行政庁に提出した場合にしか解約できないこと
④ひき逃げ、無保険者による事故に備えて、
 自賠責とほぼ同じ補償を受けられる政府の保障事業制度が設けられています。



2)任意保険
対人賠償保険
自損事故保険
搭乗者傷害保険
車両保険
対物賠償保険
無保険車傷害保険
人身傷害保険
などがこれに相当します。
自賠責保険では、けがの場合の支払い限度額が120万円となっていることから、
その不足分をカバーするため、上乗せして加入する保険であり、
対人賠償保険以外の賠償保険とのセットで加入するケースが多くなっています。
つまり、交通事故事案では、まず初めに自賠責が用いられます。




<交通事故関連の保険支払い>
自賠責保険は被害者救済の性格が強い保険ですから、
交通事故において保険金が支払われないケースはそう多くはありません。
保険が適用されるかどうかは、
自賠法第2条、同3条に照らして、
「自動車保険料率算定会」が調査をおこない、
その結果に基いて各自賠責保険会社が最終的に確定した額を支払います。
原則として、被害者に重大な過失がない限り減額される事はありません。

任意保険では、保険会社が事故状況を調査し、
裁判例や公表されている東京地方裁判所の
「民事交通訴訟における損害賠償算定基準と過失相殺率等の認定基準」により
被害者の過失の程度を判断します。
このように加害者の責任の範囲が明確にされるために、
過失相殺が原則通りおこなわれることが、自賠責との大きな相違です。




<医療機関での診察の実際>
まず、自賠責法で取り決められていることは、原則として交通事故事案は
自賠責での被害者救済が優先されます。
そこで、
診察で外傷を認めたり骨折など明らかな事故との因果関係のある患者では、
まず、警察による証明が必要になってくることがしばしばあります。
明らかな傷害事例を物損扱いとして虚偽の報告を行うことは出来ません。

人身事故は、あらためて診断書をもって警察に届ける必要があります。
継続して受診する場合は、被害額がかさんでくるため保険を利用することになり、
そのためには必ずこの「届け出」をしなければなりません。
この届け出によって、人身事故として表示された「交通事故証明書」の発行が受けられます。
我々は早期の治療開始のために患者さんに、
診断書を所轄の警察署へ提出するように勧めます。


<健康保険での治療等>
健康保険による治療は交通事故でも不可能ではありません。
しかし、それには数々の制約がついて回ります。
まず、健康保険の適応事故ですが・・・
加害車輌が、引き逃げ車や、無保険車などでは健康保険となります。



以下に患者さんに知っておいていただきたいことを記載いたします。
①交通事故による傷害の治療については自賠責保険、
 あるいは自動車保険の適用が優先されること。
②健康保険を使う場合は、患者からの保険証の提示が原則であり、
 適用は提示のあったときからとし、遡っては適用できないこと。
③ 一部負担金は患者自身が負担しなければならないこと。
④「第三者の行為による傷病届」の手続きをおこなわなければならないこと。
 「自損行為にしておきたい」ことなどから、
 この届出を怠る患者さんがありますが、
 この手続きがなされないと健康保険が使用できない場合が出てきますので、
 この第三者行為届けについては、確認できなければ自費診療となります。
⑤自賠責では後遺障害給付も休業補償もありますが、
 健康保険には存在しません。








と今さらっと思い出しただけでもこのくらいの違いがあります。




この違いをしっかり理解しておいてください。

 

 

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