保険証確認のお願い・・・・診療報酬改定迫る [医療制度]
医療制度の根幹にあるものに
国の決めた診療のルールがあります。
今回は、二年に一回の診療報酬の改定年です。
今回の診療報酬に関しては
患者さん負担が増大することはなさそうです。
ただ、若干ですが患者さんに定額を負担してもらおうという話もありました。
日本医師会その他では、この政府案に対して
患者さんの負担の増大を理由に反対を唱えてきました。
また、医療への営利的産業の参入に道を開く可能性の
TTPにも反対してきました。
TTPに参加すると、
我々の農業や医療は壊滅的な打撃を受けます。
さて診療報酬改定の前に
保険診療とは何かを説明いたします。
保険診療とは、保険診療の一定の
ルールのもとに行われています。
ということは、そのルールに反したことは自費診療になります。
保険診療のルールは、
保険証の確認から始まります。
少なくとも月に一回は
保険証確認を行うのはそのためです。
また、職が変わったりしたときにも
保険証の確認を行うことになります。
職が変われば、当然保険種別も変更となりますので。。。
長期処方自粛の解除 [医療制度]
震災後から、ご迷惑をおかけしておりました薬剤の長期処方自粛ですが、
7月12日に上述の通りに厚生労働省より、解除通達が発出されました。
これにより、病状の安定している方ならびに
まだ処方制限のかかっている薬をお使いになっている方以外は
いままでどおりの処方が可能になりました。
今回の震災での処方 [医療制度]
厚生労働省保険局医療課は
平成23年東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震の被災に伴う医薬品の長期処方の自粛及び分割調剤の考慮についてと題した通知を出しました。
平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震及び
同月12日の長野県北部の地震により、製薬会社の
医療用医薬品(以下「医薬品」という。)の生産設備等に
被害を受けたところがあり、一部医薬品について、
現時点で生産が中止されているものがあります。
このような状況下、医薬品の長期処方、又はそれに伴う調剤が行われることにより、
一時的に被災地域に必要な医薬品が供給されなくなる懸念があります。
ついては、被災地域への医薬品供給を優先し、
被災された方々が必要な医療を受けられるよう、
被災地域以外の保険医療機関及び保険薬局においては、
患者への最適な医療を確保しつつも、
当面、医薬品の長期処方の自粛あるいは分割調剤の考慮など、
必要最小限の最適な処方・調剤を行うよう
貴管下の保険医療機関及び保険薬局に対し、周知をお願いします。
というものです。
処方日数につきましては、上記の通りに行います。
ご迷惑をおかげしますが、よろしくご協力のほど、お願いいまします。
保険証確認 [医療制度]
健康保険診療の開始には、保険証の提示・確認が必要です。
月半ばでの、
保険証変更があった際には、
医療機関に、その月の内に提示をお願いします。
提示がなければ、患者さんから、保険者は回収することになります。
本来は、保険証の回収義務は保険者にありますが、
患者さん方のご協力がなければ、保険者も責任が果たせないときいていますので
よろしく、ご協力のほどお願いいたします。
患者さんへの、処方箋の使用期限についての周知 [医療制度]
処方箋の使用期限を超過してしまうのを防ぐために
あっせんが行われ、患者さんへの周知を要請されております。
厚生労働省の見解は、処方箋の使用期限として、
「交付日も含めて4日」
とされていることに対しては、
診察した当時と比べて病態などの変化があり、
一律に使用期限を延長することは、不可能と回答しています。
そこで、医療機関に通達のあったものをお知らせいたします。
交付される処方せんの使用期限は、
交付の日を含めて4日以内です。
これには、休日や祝日が含まれますので、
使用期限が過ぎないようにご留意ください。
なお、長期の旅行等の事情があり、
医者や歯科医師が、
別に使用期限を記載した場合には、
その日まで有効となります。
との周知要請の通達がありましたので、お知らせいまします。
自動車事故について [医療制度]
<損害賠償>
不注意によって自動車で交通事故を起こし、
他人を死亡させたりけがを負わせた者は、
法的には下記の責任を負うことになります。
1)刑事責任(懲役・禁固・罰金など)
2)行政責任(運転免許の取り消し・停止など)
3)民事責任(被害者に対する損害賠償)
以上の3つの責任は独立して発生するので、
刑事上は無罪・行政上も不処分であっても、
通常は民事上の責任が存在することになります。
自動車保険は、その加害者の法律上の損害賠償責任をカバーし、
また一方で被害者(およびその遺族)の救済を
図るためのものという二面性を持っています。
その点で、健康保険とは基本的に異なった保険だと言えるでしょう。
<保険形態>
1)自賠責保険(強制保険)
被害者救済を目的として1955年に自賠法が制定され、
これに基いて自賠責保険が生まれました。
損害保険会社とJA(農協)などが扱っております。
またJAが扱う保険は自賠責共済という名称です。自賠責保険には次のような特徴が挙げられます。
①加害者に自らの過失がなかったことを証明する責任を負わせ、
あわせて免責規定を厳格化することにより、
事実上無過失責任に近いものにしていること。(自賠法第3条)
無過失責任とは・・民法では、
被害者に証明責任を負わされていますが、加害者は自賠法では、
以下の3点を立証できない限り
賠償責任を免れることはできないとされています。
(1) 加害者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと
(2) 被害者または運転者以外の第三者に故意または過失があったこと
(3) 自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかったこと
②保険契約の締結を強制としたこと
自動車は、適用除外者(米軍・自衛隊の車両、構内専用車など)を除いて
自賠責保険の契約をしなければ運行することができない(自賠法第5条、同10条)
とされています。
また、自賠責保険契約を引き受ける損害保険会社に対しては、
正当な理由がある場合を除いて
契約の締結を拒否できない(自賠法第24条)ことになっています。
③当該自動車が抹消登録を受けた場合
および車両番号を行政庁に提出した場合にしか解約できないこと
④ひき逃げ、無保険者による事故に備えて、
自賠責とほぼ同じ補償を受けられる政府の保障事業制度が設けられています。
2)任意保険
対人賠償保険
自損事故保険
搭乗者傷害保険
車両保険
対物賠償保険
無保険車傷害保険
人身傷害保険
などがこれに相当します。
自賠責保険では、けがの場合の支払い限度額が120万円となっていることから、
その不足分をカバーするため、上乗せして加入する保険であり、
対人賠償保険以外の賠償保険とのセットで加入するケースが多くなっています。
つまり、交通事故事案では、まず初めに自賠責が用いられます。
<交通事故関連の保険支払い>
自賠責保険は被害者救済の性格が強い保険ですから、
交通事故において保険金が支払われないケースはそう多くはありません。
保険が適用されるかどうかは、
自賠法第2条、同3条に照らして、
「自動車保険料率算定会」が調査をおこない、
その結果に基いて各自賠責保険会社が最終的に確定した額を支払います。
原則として、被害者に重大な過失がない限り減額される事はありません。
任意保険では、保険会社が事故状況を調査し、
裁判例や公表されている東京地方裁判所の
「民事交通訴訟における損害賠償算定基準と過失相殺率等の認定基準」により
被害者の過失の程度を判断します。
このように加害者の責任の範囲が明確にされるために、
過失相殺が原則通りおこなわれることが、自賠責との大きな相違です。
<医療機関での診察の実際>
まず、自賠責法で取り決められていることは、原則として交通事故事案は
自賠責での被害者救済が優先されます。
そこで、
診察で外傷を認めたり骨折など明らかな事故との因果関係のある患者では、
まず、警察による証明が必要になってくることがしばしばあります。
明らかな傷害事例を物損扱いとして虚偽の報告を行うことは出来ません。
人身事故は、あらためて診断書をもって警察に届ける必要があります。
継続して受診する場合は、被害額がかさんでくるため保険を利用することになり、
そのためには必ずこの「届け出」をしなければなりません。
この届け出によって、人身事故として表示された「交通事故証明書」の発行が受けられます。
我々は早期の治療開始のために患者さんに、
診断書を所轄の警察署へ提出するように勧めます。
<健康保険での治療等>
健康保険による治療は交通事故でも不可能ではありません。
しかし、それには数々の制約がついて回ります。
まず、健康保険の適応事故ですが・・・
加害車輌が、引き逃げ車や、無保険車などでは健康保険となります。
以下に患者さんに知っておいていただきたいことを記載いたします。
①交通事故による傷害の治療については自賠責保険、
あるいは自動車保険の適用が優先されること。
②健康保険を使う場合は、患者からの保険証の提示が原則であり、
適用は提示のあったときからとし、遡っては適用できないこと。
③ 一部負担金は患者自身が負担しなければならないこと。
④「第三者の行為による傷病届」の手続きをおこなわなければならないこと。
「自損行為にしておきたい」ことなどから、
この届出を怠る患者さんがありますが、
この手続きがなされないと健康保険が使用できない場合が出てきますので、
この第三者行為届けについては、確認できなければ自費診療となります。
⑤自賠責では後遺障害給付も休業補償もありますが、
健康保険には存在しません。
と今さらっと思い出しただけでもこのくらいの違いがあります。
この違いをしっかり理解しておいてください。
パク・ヨンハさん追い詰めた医療費月額1300万円 [医療制度]
参議院選挙まであと数日です。
そこで、考えさせるニュースがきました。
みなさんと一緒に考えてみたいと思います。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「
先月30日に自宅で首をつった韓流スター、パク・ヨンハさん(享年32)。
自殺まで追い込まれた背景に、深刻な借金があったことが、分かってきた。
衝撃的な事実を明かすのはヨンハさんの知人。
「父親の医療費が莫大となり、支払いに頭を悩ませていたようだ」と語る。
末期の胃がんに冒されていたヨンハさんの父親は、ヨンハさんのはからいで、
ソウル市内でも屈指のがん治療に実績がある病院に入院していた。
「ヨンハさんは、絶対に一般人と接触しないよう病院側に求め、
病院側もVIP待遇で受け入れていた。
負けず嫌いの性格の上、
親孝行をしたい一心で、
月額1億8000ウォン(約1300万円)にものぼる
巨額な医療費を支払い続けていた」という。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「
これが、日本だったらどうだったでしょう?
日本であれば、素晴らしい国民皆保険制度があり
いくらVIP待遇であってもそこまでかからなかったはずです。
国民皆保険として制度を維持していても
私費医療分が多くなれば、患者さんの負担は大きくなります。
市場原理を持ち込もうとした小泉構造改革や
現政権の目論む医療ツーリズムを始めとした私費医療の拡大は
真の国民皆保険制度を崩壊させてしまうことが危惧されていました。
真の国民皆保険を守り、患者負担が少なくするためには
財源はまちがいなく必要でしょう。
財源確保をしないとなると、患者に負担させなければと政府は考えます。
負担は少なくして高福祉・高医療を享受する事は不可能ですから。
目先のことだけでなく、将来においても継続可能な策が必要ではないでしょうか?
選挙には日本国民として行きましょう。
保険証の資格喪失後受診 [医療制度]
健康保険診療は、被保険者証(以後、保険証という)を確認するところから始まります。
すなわち保険証の確認がなければ、法律上保険診療は行えません。
また、保険証ならどんなものでもいいかといいますと
有効な保険証でなければなりません。
有効期限内であっても
例えば
国保から、社会保険に切り替わったときには
社会保険の保険証を持参していかないと保険診療は受けられません。
国保の保険証を持参していきましても、医療機関には確認する術がありませんので
医療機関窓口では、保険扱いになります。
しかし、数ヶ月後に保険者から患者さんへ、金銭の支払いを求められます。
保険者側からすると、患者さんに代わって医療機関に医療費を支払ったわけですから。
あなたの保険証に目をやってください。
裏のところに
資格を失ったときには速やかに返納してください
という意味の言葉が書かれていませんか?
保険者が保険証の回収を怠っているのが問題なのですが、
患者さん自身も、使える保険証なのかどうかを
しっかり確かめて医療機関に受診してください。
あんま・はり等に対する施術同意書について [医療制度]
はり、きゅう、あんまを施術する機関が
医療機関から同意書を貰えば、健康保険で可能です。
同意書をもらいましょう。と施術機関からよく言われる患者さんがいます。
さて、この施術同意書については、このような取り決めがあります。
--------------
はり、きゅう、あんまに係る療養の取り扱い
はり、きゅう、あんまは、
主治医が保険診療による治療を行っても効果が不十分なときに、
主治医の同意のもとに保険給付(療養費)の取り扱いとなります。
つまり療養費同意書は、
一定期間の保険診療を行った後に交付されるべきものと考えられています。
また、療養担当規則にも
「みだりに施術業者の施行を受けさせることに同意を与えてはならない」
と、されています。
ただ現に保険医療機関に受療中の疾病への施術は認められていません。
つまり同一病名で医療機関とはりきゅうは保険でかかることは出来ない訳です。
次にわれわれ保険医はさまざまな法令で縛られています。
まず法律細則としての、療養担当規則の規定があります。
同意書については療養担当規則で、
次のように述べられています。
(第17条)
保険医は患者の疾病又は負傷が自己の専門外にわたるものであるという理由によって、
みだりに施術業者の施術を受けさせることに同意を与えてはならない。
このような取り決めがあります。
数年前に、厚生労働省局長通知として
医師がはり、きゅう、あんまに対する同意書を記載せず
施術が困難になる例があるが、スムーズな手続きを行う事
という「通知」がでています。
この「通知」を基にして、医師の行動は誤りだと流す業者がいます。
ただ法的拘束力は、法令>政令>省令>通知>連絡
の順番です。
ですから、この通知を基にして療養担当規則という法令細則を越えることはできません。
本来ならば、
法律の面からの改正が必要になってきます。
一番の問題は、同意を与えた疾患に対しては
一切医療行為が行えなく事です。
これは、同意を与えた病院だけでなく、すべての病院がそうなります。
仮に、将来悪化したときに医療が必要になったとしましょう。
そのとき医療が保険で行えないとしたらどうなるでしょうか?
また医師には、自分で診ることが出来ない患者を専門医の診療を受けさせる義務があります。
内科医ですと、整形疾患は整形外科への紹介となりますし
リハビリテーションが必要かいなか、リハビリテーション科に紹介ということになります。
これは、なかなか難しい問題です。
本来ならこんな取り決めを作って縛るのがおかしいことなんでしょうが。
治療の明細書を全員に交付 [医療制度]
平成22年2月3日に行われた中医協(中央社会保険医療協議会)で
診療報酬改定に対する議論が行われましたが、
その中でもかなり大切な事項ですのでお知らせしたいと思います。
診療報酬請求書並の詳細な明細書を、全員の患者さんに発行するということです。
これは患者さんの知る権利も大切にするということは大変いいことです。
しかし、通常の領収証だけではなぜいけないのでしょうか?
なぜ全員に交付しないとならないのでしょうか?
われわれは交付しろと言われれば交付できる体制にはあります。
しかし、仮に患者さんA以外の人Bが薬を取りに来た時にも交付したとしましょう。
そして患者Aは、絶対に他人に知られたら嫌だと思う病気があったとします。
全員に交付するならば、患者Aの検査内容も薬も病名も全て他人にわかってしまいます。
また、逆にご家族が患者に告知しないでくれと頼まれる場合も沢山あります。
そう。
例えばガンなどの悪性疾患や、精神疾患などです。
こういった場合も、間違いなくわかってしまいますね。
権利権利と言いますが、このようなリスクがあっても
行うことを義務化した政府の考えがわかりません。
現在のような領収証やレシートでさえ捨てて帰られる方が非常に多いのです。
さらに詳細な診療内容が記載された明細書は、気軽に捨てて帰るわけにはいきません。
あなたの情報が全てツツヌケになってしまいます。こんな事が話し合われているわけです。
国民不在の政治は今に始まった事ではありませんが、
民主党になってから自公よりも社会保障については後退しているようです。
民主党のマニフェストにはなんと書いてあったでしょう?医療・介護の後退はさせないといってました。
先日も、鳩山総理は「命を大切にする国会と位置付け」などと発言されてました。
どこにいったんでしょうか?
みんなにわかりやすい診療報酬体系を目指すことこそ、本当に必要なのではないでしょうか?